スペーサーシステムで未踏のポイントを撃ち抜け!

1年ほど前からにわかにショアジギング界隈で話題になっているのがスペーサーを使った細糸システム。

ショアジギングにPE0.8号ほどのメインラインを使用するためのシステムです。

中には0.6号なんていう極細糸を使用する強者もいるとかいないとか…

このページでは今後流行る…とは思えないスペーサーシステムについてご紹介します。

スペーサーとは

スペーサーシステムとは、極細メインラインとショックリーダーの間にスペーサーラインを接続して、キャスト時のルアー(メタルジグ)の高切れを防ぎつつ飛距離を追求するためのラインシステム

このラインシステムにする場合、メインラインはPE1号以下の極細PEラインを使用してルアー(メタルジグ)の飛距離を求めます。

ショックリーダーは通常のショックリーダーです(ナイロン30lb程度)。

メインラインとショックリーダーの間に挟むスペーサーラインとしてPE2号程度の通常のショアジギングに使う程度のPEラインを使用します。

スペーサーの長さは10~20mほどあった方がいいでしょう。

スペーサーの役割

キャスト時の高切れ防止

仮に0.8号のPEラインに直接ショックリーダーを接続して40~80gほどのメタルジグをキャストした場合、メタルジグはどうなるでしょうか?

十中八九、キャスト時にノットの部分から高切れします。

軽くプツッっと逝きます。

最近はあまり語られなくなってきましたが、昔は1gのルアーをキャストするのに1ポンド必要といわれていた時代があります。

10gのルアーなら10ポンド。

ただし70gのルアーなら70ポンド必要か?といわれるとそれは現実的ではないので、極端に重いルアーについては最低30ポンド以上必要といわれていました。

これはかなり大雑把な目安ですが、とはいえPE0.8号のラインで60gのメタルジグを投げればどうなるか…は明らかです。

そこでスペーサーの出番です。

スペーサー用のラインとしてPE2~2.5号10~20mほど接続します。(接続方法はFGノットでOKです。)

10~20mほどスペーサーを噛ませることで、極細メインラインとスペーサーラインの結び目(ノット)はキャスト時には完全にリールの中に巻き込まれます。

つまりキャスト時に負荷が掛かるラインはショックリーダーとスペーサーラインでリールに巻き込まれているメインラインには負荷が掛かりません。

キャスト後にラインが放出されるにつれてメインラインが姿を現してきます。

メタルジグの飛行中は極細PEがメインラインなので風の影響を受けにくく飛距離が伸びます。

強引なやりとりをするため

いくらPE2号のスペーサーを接続したところでメインラインのノット部分の強度はあくまでPE0.8号の強度しかありません。

なので魚を掛けた後の魚を寄せてくるときに強引なやりとりをすることはできません。

ただ、強引なやりとりが必要になる場面といえば足元で起こることが圧倒的に多いです。

遥か沖の方で魚を掛けて、魚を掛けてから魚を釣り上げるまでずっと強引なやりとりをしなければならないかといえば、そんなことはありません。

サーフのようなポイントで他のアングラーが周りにいなければ魚に好きなように泳がせてやればイイです。

しかし足元まで寄せたとき、足元の魚をコントロールするためには大なり小なり強引なやりとりが必要になります。

このときにメインラインでやりとりをすることになれば足元でラインブレイクするおそれがあります。

でも20mの長さのスペーサーラインを接続していれば、魚を足元まで寄せてきた頃には極細のメインラインはリールの中に巻き込まれてしまっていて、魚とのやりとりはスペーサーラインですることができます。

スペーサーラインは足元で強引なやりとりをする時にも効果を発揮します。

テーパーラインの考え方

このようにメインラインに極細ラインを使用し、オモリ(シンカー)に接続するラインを太くする考え方はなにも突拍子もない考え方というわけではありません。

むしろその歴史は古く、このような考え方に基づいた仕掛けが投げ釣りには存在しています。

投げ釣りでは力糸と呼ばれるテーパーの付いたラインを15m程度使用します。

投げ釣りでは100gほどの天秤オモリを使用することもあるので、オモリに接続するラインが細いとキャスト時にいとも簡単にプツッとラインが切れてしまいます。

なのでオモリを結ぶラインは太くて強い糸を使用します。

投げ釣りは重いシンカーをキャスティングする釣りでは最先端にあるので、スペーサーなどというPEではなく同じ用途の力糸と呼ばれる商品がすでに販売されています。

この力糸は1本のラインで両端の太さが違う構造になってます。

たとえばダイワのサーフセンサー(上記)はラインの片側は1号ですが、もう片方の端は6号になっています。

端に向かうにつれてラインの太さが太く(または細く)なっていきます。

ショアジギングにおけるスペーサーシステムは投げ釣りでは古くから存在していたテーパーラインの発想に基づくものということができます。

でも流行るのは難しいと思う

実はこの力糸の発想に基づいたラインシステムは数年周期で釣り業界に登場してきます。

シーバス業界では6~7年ほど前にシャローフィネスという考え方が登場しました。

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またシマノから投げ専リールをモデルに作られたルアーキャスティング専用のリールが作られたり、ルアーキャスティングゲーム用のテーパー付PEライン(メインライン)まで発売されたことがありました。

しかし、どちらのシステムもいつの間にかカタログから消えてしまっています。

まぁシマノの投げ専風のキャスティングリールはカッコ悪かったってのもありますが…

シーバスフィッシングにおいてスペーサーシステムが流行らないのは何となく分かる気がする。

ショーカラ
だってスペーサー組むのメンドクサイもん

シーバスフィッシングなんてノットすら現場で組むのを面倒臭がって家で組んでいく人がいるくらいなのに、ナイトゲーム主体のシーバスゲームにおいて現場でスペーサーを積極的に使いたいと思うアングラーが多いとは思えない。

ラインブレイク後に組み直すのマジで面倒だよね。

しかもシャローフィネスのもう一つの失敗はスペーサーシステムに『シャロー』と名付けてしまったこと。

スペーサーシステム(シャローフィネスにおけるミッドリーダーシステム)自体は有用性があると思っていますが『シャロー』と名付けてしまうと途端にハードルが上がる(アングラーの興味が下がる)。

もっと汎用的な名称にすればもう少し活路を見出せたかな?って感じはありますが、シャロー限定のような名前を付けて売り出した時点で詰んでいた。

まぁそもそもスペーサーの存在自体、面倒臭がりのシーバスアングラーには受け入れられないとは思うけど…

ショアジギングなら流行るかも!?

シーバスと違ってショアジギングってほぼデイゲーム主体だからノットの組みやすさからいえば圧倒的にシーバスよりもショアジギングの方がやりやすい。

またシーバスフィッシングと違ってショアジギングってガチ勢がけっこう多いからショアジガーであればスペーサーを組むのをいとわない人も少なくないと思う。

加えて、シーバスフィッシングは必ずしも飛距離を必要としない狙い方(シチュエーション)がたくさんあるんだけど、ショアジギングって飛ばしてナンボの世界みたいな部分があるからメインラインを1.2号や1号くらいに落としたスペーサーシステムを導入する人はいてもおかしくない。

いろいろと考えてみるとシーバスフィッシングよりは流行る要素があるかな?って感じですね。

個人的には導入しないけど

個人的には、飛距離のためにラインの太さを極端に細くするってスタイルが好きではないので、もうまずスペーサーシステムを取り入れることはないですね。

特に青物を釣るようなショアジギングでメインラインを極細にする勇気は僕にはないですね。

誰もいないサーフでやるのであれば、もしかしたら魚を釣り上げられるかなって思いますが、そのくらいハードルが高い。

スペーサーをリール内に巻き込むまでは結局0.8号で青物とやりとりしないといけないわけですからね。

ただ、スペーサーシステム自体が突然提唱されたあまり意味のないシステムというわけではなく、テーパーラインの発想自体は昔からあり、飛距離という点ではむしろ理に適っているシステムです。

なので『今まで届かなかったあのナブラを撃ちたい!』と考えてスペーサーシステムを採用するのは全然アリだと思っています。

ほとんどのショアジギンガーが『ナブラが起こっているのに届かなかった』という経験をしたことがあることでしょう。

(個人的には導入予定はありませんが)『未踏のポイントへジグを撃ち込んでみたい!』というロマンのあるアングラーはスペーサーシステムに挑戦してみてはいかがでしょうか。