釣りを始めてから、ちょっと釣りにハマり出すとYouTube・ウェブサイト・雑誌・釣り番組からたくさんの情報を収集するようになります。
僕もシーバスを始めた頃にはザ・フィッシングというダイワのテレビ番組や釣り雑誌でシーバスフィッシング用の仕掛け・狙い方・釣り方についてすごく勉強しました。
ところで、最近になって釣り場で出会う入門者っぽい若い子にタックルについて聞かれ、経験を踏まえてなるべく初心者にとってベターなお話をすると、ふと気がつく。

このページでは上から目線で語られる『入門者向け』『初心者向け』の情報についてご紹介します。
やたら長いロッドを薦める

たとえばシーバスロッドであれば9.6ftとか。メバルロッドであれば8ftとか。
使い慣れればどうってことない長さですが、長いロッドの扱いに不慣れな入門者はけっこういろんなところにティップをぶつけますよ、マジで。
もちろん「シーバスをサーフで釣る!」とか「メバルを地磯で狙う!」という限定的な使い方であれば長めのロッドの利点は大きいですが。
でもそれは限定的な使い方に対応するための長さであって、通常であれば長すぎ。
僕なんて大橋川~中海でシーバス狙うときは7.6~8.3ftのロッドです。
宍道湖に行くときだけ9.0ftを持って行くかなという感じ。
境水道でメバルを狙うときは6.6ftですよ、どこでも。
メバルロッドはもう少し長さがあった方がイイなと思うこともありますが…

確かに長いロッドの方がルアーの飛距離が出るってのは一般論としてあります。
でもそれは、あくまでロッドを「ビシッ」とシャープに振り切れるというのが大前提です。
なので、長くて重いロッドを何時間くらいビシバシとシャープに振り切れるか…ということが問題になるのですが、そんなゴリゴリの体育会系のようなスタイルを入門者に勧めます?
僕なら勧めないです。
短くて軽いロッドでビシバシとシャープに振り切っていれば、長くて重いロッドでダルそうにキャストしてるのと同じくらい(もしくはそれ以上)に飛びます。
長いロッドの空気抵抗って想像以上に大きいからね。
他にも「短いロッドは大物が掛かった時に不安」ということを聞いたことがありますが。
でも、それは完全に逆じゃないでしょうか?
普通は大物を相手にするときはロッドは短い方が有利です。
長いロッドだと引きの強い魚に振り回されるから。
磯竿のようにロッドのしなりを使って大物のパワーを吸収する…というコンセプトのロッドであれば確かに長い方がイイのかもしれませんが、あまりそんなロッド多くはないですよね?
入門者にとってはロッドは長めより短めの方がはるかにオススメです。

でも足場がかなり高いような場所でければやや短めが使いやすいです。
ナイトゲームはノーマルギア?

これはハイギアリールが主流になってから言われ始めたことです。
ナイトゲームはスローな展開の釣りなのでリールはハイギアでない方がイイそうです…
…?
別にハイギアのリールは早巻きしかしちゃダメなんてことはありませんから。
ハイギアリールでノーマルギア以上に遅く巻けば、ノーマルギアのリール以上にスローな釣りをすることができます。
速い方が遅い方に合わせることは可能ですが、遅い方が速い方に合わせるのはけっこう難しいんです。
ウサイン・ボルトが僕のスピードに合わせて走ることは簡単ですが、僕がウサイン・ボルトのスピードに合わせて走ることできます?
いや、これは極端な例でですが…

遅い方を速い方に合わせたり、速い方を遅い方に合わせたり、慣れればそれほど難しくはありません。
それよりもナイトゲームをする入門者にとって何よりも重要なのはリーリングの感度です。
デイゲームと違ってナイトゲームでは目で見て得られる情報というのが多くはありません。
手掛かりになるのは聞こえてくる音やロッドを持つ右手・リーリングする左手に伝わってくる情報がすべてです。
それなのにノーマルギアのリールを使ってしまうと、リーリングから得られる情報がだいぶ少なくなってしまいます。
『感度なんてまったくいらないぜ』という入門者にとってはノーマルギアでも構いませんが、一般的な入門者にとっては目で見て得られる情報がほとんどないナイトゲームこそハイギア以上のギア比のリールを使うべきです。
メインラインに極細PE
昔のメインラインはシーバスフィッシングであればPE1~1.5号(もっと大昔はナイロン4号以上)、メバリングであればナイロン4~5lbと言われていました。
この程度であれば入門者でも問題なく扱える太さです。
でも最近のメディアではシーバスにPE0.8号とか、メバルにPE0.3号なんていう極細のPEラインを勧めるようなメディアもあります。
確かに飛距離だけを考えればメインラインが細ければ細い方が飛距離が出ます。
でも、こんな髪の毛よりも細いような極細PEをライン操作に不慣れな入門者が快適に扱えるわけがない。
入門者の中には手先が器用だったりセンスが良くて極細PEを上手く扱える人もいるかもしれませんが、僕みたいなノーセンスのアングラーは未だにメバル用のPEは扱いづらい。
これは完全に上から目線で勧めているとしか思えない。
入門者には扱いにくいかもしれない…なんて、これっぽっちも考えてくれてない。
しかもPEは細くなるほど値段が高くなるし、極細PEを扱いきれなくてライントラブルでもしようものならビビッて釣りにならないでしょってレベルの扱いづらさ。
確かに飛距離は犠牲にはなりますが、入門者にストレスなく釣りをさせたいなら若干太めの方がイイのは目に見えてる。
ショックリーダーはフロロ

最近のソルトルアーフィッシングではPEラインが主流なので、メインラインの先端部分には必ずショックリーダーを結束します。
このショックリーダーですが入門者にとっては圧倒的にナイロンラインがオススメです。
これはかなり明白。
何よりもまず結束のしやすさが全然違う。
メインラインとショックリーダーを結束するときはノットと呼ばれる結節方法で接続します。
このノットを作るときにショックリーダー用のラインが硬くて太くてハリのあるライン(たとえばフロロ)だと、とにかくノットが作りづらい。
ノットを作るのに慣れていたり手先が器用な人であれば硬くて太いラインでも綺麗にノットを作れます。
慣れれば問題ありません。
でも手先が特別器用なわけでもなくノットに慣れていない入門者にとってはフロロでノットを組むのは苦行でしかない。
『苦行』は言いすぎだろっていうアングラーもいるかもしれませんが、その時点で初心者を初心者として見ていない。
僕は家でノットを組んでいくことはまずありませんが、アングラーの中には現場ではなく家で予めノットを組んでいく人もいるそうです。
なんで家で組んでいく必要があるのかわかりませんが、それだけ現場でノットを組むのは面倒なんだと思います。
その面倒な作業をするために、結束しづらいフロロを使うように初心者に教える意味があるのかどうか…
初心者がノットを組むにあたってはフロロよりナイロンの方が結びやすいのは明らかです。
またナイロン以上にフロロは糸グセがキツイので軽量ルアーが使いにくい(軽量ルアーの動きに影響がある)。
10gを切るようなシンキングペンシルを使おうとするとフロロでの扱いに慣れていないとリーダーのハリや太さが邪魔をして綺麗に泳がない。
入門者向けの記事なんかを読むと『リーダーには根ズレに強いフロロを使用する』と書いてあります。
でも、上記のようなデメリット(結束しづらい、糸グセがキツイ、他にも価格が高いなど…)を甘受してもなお『ナイロンよりフロロを使うべし』と言えるほどの根ズレ耐性の違いはありません。
耐摩耗性(根ズレの強さ)の差はナイロンかフロロかの違いよりも商品による差が大きいです。
耐摩耗性を推すナイロンラインはとてつもなく根ズレに強いです。
どうしても根ズレ耐性(耐摩耗性)を追求したいのであれば耐摩耗性の高いナイロンの方が圧倒的にリーダーとしてオススメです。
フロロにはフロロの良さや使いどころがあるので一通り釣りに慣れてきた頃にフロロを試してみれば十分です。
初めから苦行に挑む必要はありません。
オススメルアーにバイブレーション
ルアーに関していえば、初心者が最もテンションが下がる事故が【根掛かり】。
釣りを始めた当初はこのフレーズを聞くだけで
アワワワワ…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
と震えがくるほど。
初めての場所で慣れないバイブレーションを使って一晩で何個もルアーをロストした…という経験がある人も少なくないはず。
そんな入門者に恐怖を与えるようなルアーをオススメしても入門者にとっては高いハードルでしかない。

と二の足を踏ませること間違いなし。
バイブレーションを当然のようにオススメルアーとして紹介しているものはともて初心者目線とはいえません。
まとめ
釣り系メディアで『入門者向け』を謳う情報の中には、まったく入門者向けでない情報も数多く含まれています。
確かに釣りを長く続けていると「今の当たり前が昔は当たり前じゃなかった」ということに鈍感になってきます。
釣具屋の店員の情報もアテにはできません。
15年くらい前の話ですが、僕の友人がメバリングを始めたいということで釣具屋の店員に教えられるままにタックルを揃えていました。
そのときのリールは、シマノの1000番のスピニングリールにフロロ5lbをいっぱいに巻いてありました。
その後の出来事を想像するのは難しくないと思います。
1投目に大ライントラブル…(;´・ω・)
初心者向けの情報は一見して平易にまとめられているものが多いですが、その内情は、釣りウマの上から目線でまとめられた情報であることが少なくないということを頭の片隅に置いておきましょう。