【ルアー】時代は飛距離から立ち上がりの速さへ

横浜釣りフェスティバルでは新製品ルアーがお披露目となりました。

ここ20年ほどは、飛距離・飛距離・飛距離というように、とにかく飛距離を前面に押し出したルアー開発が行われてきました。

それがここ数年は、技術的に飛距離が頭打ちになったせいか、飛距離が出ることを前提に飛距離以外のポイントを押すルアーが増えてきました。

このページではソルトルアーのトレンドをご紹介します。

従来のルアー

重心移動システムの登場

飛距離合戦の様相を呈してきた時代のルアーは、タングステンのウエイトボールをルアー内部で移動させる構造を採用してきました。

キャスト時にはタングステン球がルアー内部のレールを移動することでルアー後方部へ移動し、着水後の動き出し時にはタングステン球が前方部へ戻ってアクションを行う構造になっています。

この重心移動システムを世に広めたのがタックルハウスのK-TENシリーズでした。

K-TENの重心移動システムはいまでも重心移動タイプのルアーの原型になっています。

K-TENシリーズはルアーウェイトを前方部にとどめるためにマグネットを採用しており(当時は画期的でした)、この重心移動システムが登場した頃にマグネット固定型を使用していたのはタックルハウスだけでした。

移動重心ルアーの問題点

重心移動システム誕生当時はとても画期的なシステムでしたが、いくつかの問題点も指摘されていました。

1つアクションエラーが生じることです。

キャスト時にウエイトが後方に移動しますが、このウエイトが後方に残ったままルアーをリトリーブしてもリアがヘビーになってしまってリップが水を掴みません。

そのためルアーが頭を持ち上げた状態でアクションせずに戻ってくるということが起こります。

2つめ立ち上がりの遅さです。

重心移動型のルアーはキャストした後の着水時にはウェイトが後方にあります。

アクションエラーを起こさないために、このウェイトをトゥイッチなどで強制的に前に戻してやる必要があります。

固定重心ルアーと比較すると、このウエイトを戻す作業のせいでルアーがアクションを開始するまでにタイムラグが生じます。

3つめウエイトから生じる音です。

移動重心ルアーは、キャストする瞬間に前方から後方へルアーが移動するため、「カチャン」という音が出ます。

そのくらいは別に構いませんが、後方へ移動したウエイトを前方へ戻したり、ルアーをリトリーブしている最中にルアーのルーム内からコトコトとウエイトが微振動することにより音が生じるといわれてきました。

個人的にはまったく気にしたことはありませんが、魚の中には音を嫌う個体もいると考えられているので、ルアーのルーム内から生じる音も問題とされてきました。

超画期的なサイレントオシレート

これらの問題に対して一定程度の解決策を提示したのがダイワのサイレントオシレートシステムでした。

サイレントオシレートシステムは、ルアー内部にウェイトが移動するためのレール状のルームを設けるのではなく、ウエイトに真っ直ぐなワイヤーを通してワイヤー上をウエイトが移動するシステムになっていました。

現在はこの真っ直ぐに前後するウエイトの移動方法が主流になりつつあり、飛距離を伸ばすうえでは欠かせない構造になっています。

飛距離から立ち上がりの速さへ

超革新的AR-Cシステム誕生

2000年代初頭までまったくといってイイほどソルトルアーフィッシングに力を入れていなかったシマノですが、2009年頃になりシマノから超革新的なAR-C重心移動システムが発表されました。

ウエイトをまっずぐ前後させる発想はダイワと同じですが、シマノのAR-Cシステムは後方に移動したウエイトをバネの力を使って強制的に前方へ戻すという方法を採用しました。

AR-Cシステムは超絶に革新的なシステムで、これによりシマノはソルトルアー業界でダイワに並ぶことができたといっても過言ではないでしょう。

サイレントオシレートシステムでさえウエイトの戻りが容易で立ち上がりが速かったですが、AR-Cシステムはバネの力でウエイトが勝手に戻るので誰にでも非常に使いやすいルアーになっています。

飛距離もK-TENやダイワに劣ることはなく、むしろ飛ばしやすさ・飛距離の出しやすさではシマノのAR-Cシステムの方が一段上を行くような印象でした。

今風にいうと、まさに『サイレントアサシン爆誕』というような記憶があります。

らしさ全開のLBOシステム

移動重心用のウエイトにボールベアリングを内蔵してウエイトの戻りの速さを実現したのがメガバスのLBO(リニアベアリングオシレーター)システムです。

ウエイトそのものにボールベアリングというギミックを仕込むあたりがメガバスらしさ全開でした(2014~5年頃)。

現在ではメガバスの主力ソルトルアーにかなりLBOが搭載され始めています。

LBOシステムは従来と比べものにならないほどわずかな傾きでウエイトが前方へ戻るシステムになっています。

ショーカラ
早くゾンク120LBOがほしい…

名前がカッコイイMRD

バネの反発を利用してウエイトを戻すAR-Cに対して、磁力の反発を利用してウエイトを戻す機構を開発したのがima(アイマ)のMRDシステム(マグネティック・リバウンド・ドライビング)です。

上記どのメーカーのルアーもウエイトは真っ直ぐに前後するのですが、なぜかアイマのMRDはとてもよく飛びます。

投げ方の問題なのかわかりませんが、管理人が近しいサイズのルアーを投げ比べてみたらアイマのルアーが一番飛びました。

(そもそもルアーがまったく別物たちなので比べる意味もありませんが)なぜかよく飛びます。

管理人の投げ方のクセに合っているのかもしれません。

ウエイトの戻りはAR-Cと同様にオートマチックなので立ち上がりはかなり速く、初心者にとても使いやすいルアーに仕上がっています。

今後のルアーの行く先は?

立ち上がりの速さはかなり良くなった

K-TENの誕生によって飛距離が格段に伸び、サイレントオシレートとAR-Cの登場によって立ち上がりの速さがかなり克服されました。

今後は、いままでK-TEN方式の重心移動システムを採用していたルアーたちが立ち上がりの速さを求めて改良されていくことになるでしょう。

また『飛び』に関しては、飛距離よりも飛ばしやすさが追求されていくのはないかと考えています。

どれだけ最長飛距離が突出したルアーでも、キャストがバチッと決まったときじゃないと飛距離が伸びないってことになると、使いづらくてしょうがないです。

逆に最長飛距離で多少劣っていてもコンスタントに飛んでくれるルアーの方が使いやすいです。

迷走するシマノ

一足早く飛距離・飛ばしやすさ・立ち上がりの速さを克服したシマノがいったいどこへ向かっているのか?といえば

リアルでありアピール力のあるカラーの追求

です。

2019年シマノはフラッシュブーストと呼ばれるステイしているときでも煌めく反射プレートを内蔵したシステムを発表しました。

それと同時に、狂鱗と呼ばれる魚の鱗を忠実に再現したカラーも発表されました。

2020年は、シマノ最大の売れ筋であるサイレントアサシン120にフラッシュブーストと狂鱗を搭載したモデルを発表しました。

…が

ショーカラ
そこはそんなに期待してねぇ…

というのが個人的な感想。

レッドヘッドやレッドベリーパール、チャートバックパールなどのカラーでデイゲームも通してきた世代からすると、カラーのリアルさをそれほど重要視していない人が多いのでは?と思っています。(個人的な見解です)

来年以降の隠し玉があるのかどうかわかりませんが、シマノが舵を切った方向は管理人が望んでいたものとは全然関係ないものでした。

リアル系は流行ると思う

かつて一世を風靡したメガバスルアーも、釣り人がたくさん釣れるようなリアル系ルアーが目白押しでした。

当時市場に出回っていたルアーのカラーから比べると明らかに魚っぽい。

明らかに釣れそう!(あくまで釣れ「そう」)

近年になって、BlueBlue(ブルーブルー)のボラコンやメジャークラフトのライブベイトシリーズなど、技術の進歩によってリアルなプリントが施されたルアーが発売されるようになり、かなりの評価を得ています。

流行に敏感なダイワあたりだとリアルベイトカラーを出してくるのではないでしょうか?

ソルトフィッシング業界で確固たる地位を築いているダイワがリアルベイトカラーを出せばまず間違いなく売れるでしょう。

しつこいですが管理人はあまりリアルベイトカラーの惹かれませんでした。

ショーカラ
あ、すごくリアルだね…

程度の感想しかありませんでした(;´・ω・)

まとめ

ここ20年ほど飛距離合戦を展開してきたルアーメーカーですが、近年になって最長飛距離から立ち上がりの速さや投げやすさを追求する方向へシフトしてきました。

それに加えて、なんといっても近年の流行はリアルベイト系のカラーラインナップです。

最長飛距離が頭打ち気味になってきた昨今、最長飛距離よりも、より飛ばしやすく、より立ち上がりの速いリアルベイトカラーのルアーがトレンドになるのでは?と妄想しています。