【ゼロから始める】なぜ釣れる!?黄色いルアーの秘密を探る!!【第25回】

ここ10年くらいで定番カラーとなった黄色いルアー。

一般的にはマットチャートと呼ばれることが多いです。

当たり前のように売られていますが、ビギナーアングラーの中には疑問を持つ人も少なくないでしょう。

ビギナー
こんな色の魚おらんやん!
ホントに釣れるん!?

まぁ、当然といえば当然の疑問でしょう。

このページでは、なぜかよく釣れる黄色いルアーの秘密についてご紹介します。

執筆者
ショーカラ(y-nax)
『釣り』の翻訳家
最近の釣りメディアでは、釣りに関する情報がメーカーのために中・上級者目線で発信されるようになりました。ナチュラルリリースでは、ビギナー目線で語られることが少なくなった「釣りに関する『キホンのキ』」をビギナー目線で発信しています。

シーバスはどうやってルアーを発見するのか?

獲物を認識するために優位に働く器官は?

魚が、エサとなる小動物(小魚・甲殻類・環形動物など)を認識するために作用する器官は、大きく分けて4つあります。

目(視覚) 耳(聴覚) 鼻(嗅覚) 側線

です。

これらの器官をフル活用して獲物を見つけます。

そして、生物学・物理学という観点から科学的に考察した場合、シーバスが獲物を認識するときに優位に働く器官は目(視覚)であるといわれています。

ルアーから発生する水の動きは拡散しない

あるベテランアングラー(プロではない)が

ベテラン
ルアーが動くことによって水の動き(水粒子の振動・水流)が発生し、シーバスがこれを側線で感知する

と説明しているブログメディアを読んだことがあります。

しかし、物理の法則からいえば、水中で動いたルアーが発生させる水の動きは、ルアーの周辺にしか拡散されないそうです。

ショーカラ
砂の中に手をつっこんで動かしたときに発生する砂の振動の伝播(拡散)に似ている
といわれています

そのため、シーバスの側線の感度がいくら良くても、ルアーのすぐそばにいなければ、ルアーによって発生する水の動きを側線で捉えることはできません。

シーバスは視覚主導型

では、シーバスがどうやってルアーを認識しているか?ということが問題になります。

この点については

シーバスは脳の視葉が発達していて、動くものに反応する視覚主導型の習性である

と説明されています。

wikipediaより-

つまり、シーバスが獲物を認識するときに優位に働く器官は目(視覚)である、ということです。

ウィキペディアのもとになった文献はやや古いと思われますが、詳細は過去の記事でご紹介しています。

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魚の視力は悪いらしいけど?

最後に、「魚の視力」について補足しておきます。

一部のアングラーの間では

ベテラン
魚は視力が悪いから、夜はルアーが見えない

といわれることがあります。

確かに、魚の視力は0.1〜0.6ほどの低い数値といわれています。

じゃあ、同じくらいの視力を持つ動物は?というと、たとえばネコが挙げられます。

ところで、「ネコは視力が悪い」といわれても実感が湧かない人も多いでしょう。

ネコは夜行性で、実際に夜でもよく見えています。

実は、夜行性の動物の多くは、少ない光量を効率的に取り入れることのできる目の構造をしています。

たとえば、ネコや夜行性の魚の場合、網膜の後ろにタペタムと呼ばれる反射板があります。

網膜を通過した光をタペタムが反射して、もう一度網膜を通過させることで、少ない光量を効率的に網膜に取り込むことができる仕組みになっています。

これにより、夜行性の動物たちは、暗闇の中で人間よりもはるかに明るい世界を見ているのです。

参照猫の眼はなぜ光る?

つまり、「視力が悪いこと」と「暗闇で見えないこと」はイコールではない、ということです。

なぜ黄色いルアーは釣れるのか?

上記のとおり、シーバスは(主として)視覚でルアーを認識しています。

それでは、なぜルアーの中でも黄色いカラーが釣れるのでしょうか?

光の波長の吸収と散乱

水中でのルアーのカラーの見えやすさは、光の波長の吸収と散乱(広がり)によって決まります。

の光の三原色のうち、赤色の光が最も吸収されやすいそうです。

つまり、赤色は色が失われやすいということです。

また、赤色は最も散乱しにくい(広がりにくい)ので、深いところまでは色が届きません。

反対に、青色の光は、最も吸収されにくく、散乱しやすい(広がりやすい)ので、水中で最も遠くまで見えることになります。

そして、この赤色と青色の中間にあるのが黄色です。

参照:光の吸収と散乱

青色が一番遠くまで見えるのでは?

光の三原色のうち、水中で最も遠くまで届く色は青色です。

そうすると

ビギナー
じゃあ、青色が一番見えやすいんじゃない?

という疑問が生まれるところです。

しかし、そもそも海は青いため、青色のルアーだとまわりの色と同系色になります。

そのため、今度は海とルアーの識別がつきにくくなるという問題があります。

「光が遠くまで拡散されやすい(広がりやすい)こと」と「その光が識別しやすい(目立つ)こと」とはイコールではない、ということです。

黄色いルアーが一番ちょうどいい感じ

結局のところ、赤色は水中では目立ちにくく、青色は水中で拡散するものの、水と同調して識別しづらくなります。

そうすると、水中で色が吸収されにくく、なおかつ、水との識別が容易な色は黄色いカラーということになります。

一見するとド派手に見えるマットチャートカラー。

しかし、実は、(見えやすさという点では)水中で比較的光が吸収されにくく、拡散しやすいバランスの取れたカラーといえるのです。

そのため、黄色いルアーはシーバスフィッシングにおいて定番中の定番カラーといえるのです。

目立てばいいっていうものではないが…

最後に、「カラーと捕食」の関係について触れておきます。

ルアーフィッシングでは、ド派手なカラーは「警戒されやすいから食わない(すぐにスレる)」といわれることがあります。

確かに、ルアーを発見してもらっても、ルアーを警戒して食いついてこなければ意味がありません。

ショーカラ
マットチャートに関しては
「こんなカラー、絶対にシーバスも警戒するだろ!」
って思うこともあります

その意味で、ルアーは、ただ目立てばいいってわけではありません。

でも、実際に警戒するかどうかはシーバスに理由を聞いてみなければわかりません。

ルアーに興味を持ちつつも、食いつかなかった理由。

それが、警戒心によるものなのか、それ以外の理由によるものなのか。

そのシーバスだけが知ることです。

そういった不確実な理由に思いを馳せるよりも、科学的にわかりやすい理由に着目した方が、オカルトに振り回されずにシンプルにルアーをセレクトできます。

そこで、騙されたと思って、マットチャートカラーを使ってみてください。

ルアーのカラーに対する概念がきっと覆ることでしょう。

実は黄色いルアーはオールラウンド

一見するとド派手に見えるマットチャートカラー。

しかし、大気中とは異なり、水中で見えるカラーは必ずしもイメージどおりとは限りません。

光の波長によって、遠くまで拡散する色とそうでない色があります。

また、遠くまで拡散するとしても、水と同調して識別しづらくなるカラーもあります。

その点では、チャート系のカラーは色自体が吸収されにくく、水とも同調しづらい水中でそこそこ見えやすいカラーといえます。

視覚主導型のシーバスを釣るためには、ルアーを見つけてもらうことは釣果を上げる第一歩です。

マットチャートは派手なカラーに見えますが、光の波長と散乱という観点からいえば、むしろオールラウンドなカラーといえます。

これは、昨今のマットチャートカラーによる釣果が物語っています。

確かに、ビギナーアングラーにとっては抵抗があるカラーだと思います。

でも、科学的には理に適っていると割り切って使ってみると、チャートカラーの威力を体感できるでしょう。

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