
秋の釣りシーズン。
堤防から釣りを楽しむファミリーが増えてきました。
アジ、サバ、サヨリなどを堤防から狙う手軽な釣りは、家族や仲間と楽しめるレジャーです。
しかし、ちょっとした油断が命に関わることもあります。
実は海に落ちると、わずかな段差すら自力で登れないことがあります。
プール感覚で少しの段差なら上がれると思うと大慌て…
このページでは、実際の事故事例から落水リスクを知り、アングラーが取るべき安全対策をご紹介します。

最近の釣りメディアでは、釣りに関する情報がメーカーのために中・上級者目線で発信されるようになりました。ナチュラルリリースでは、ビギナー目線で語られることが少なくなった「釣りに関する『キホンのキ』」をビギナー目線で発信しています。
他人事じゃない!実際にあった事故
女性が防波堤から落水し命を落とす
釣り中の60代男性が魚を入れた網を拾おうとして海に飛び込み命を落とす
堤防で釣りをしていた父子が海に転落し、父親が命を落とす
これらの事案の共通点は救命胴衣がないこととよじ登る場所がないことです。
このような状況で自力で生還することはほぼ不可能です。
10cmでも登れない!?プールと海の違いとは?
どれくらいの高さならよじ登れる?

海に落水したときに、海面からどれくらいの高さの堤防であればよじ登れるでしょうか?
落水経験のある人ならわかるでしょうが、堤防の高さが1mもあれば絶望します。
これは不可能。
では、海面からの高さが何cmくらいなら自力でよじ登れるのか?
プールだと、水面からの高さが(高いところで)20cmくらいあるプールもあるようです。
しかし、海面から自力で登れる堤防の高さは
10cm
といわれています。
これを超えると、よほどの体力自慢でない限り、自力で登るのはかなり困難といわれています。

と思う人もいるかもしれません。
でも、海中はプールとは全く状況が違います。
プールと海の違い
②足が届かない&波や潮で体が不安定 → 踏ん張れずジャンプもできない
③堤防は手を掛ける場所が少なく、滑りやすい → 腕力だけで登るしかない
海難事故の専門家によれば

ということだそうです。
つまり、プール感覚で段差を考えるのは非常に危険ということです。
釣り人が行なうべき安全対策
ライフジャケットは必須

足が届かず、堤防の高さが30cm以上あれば、自力でよじ登ることはほぼ無理と考えましょう。
そのため、このような場所で落水したときは「浮いて助けを待つ」のが正解です。
体を浮かせて、体力の消耗を防ぐためにも、(足が届かない場所では)ライフジャケットは常に着用するように心掛けましょう。
ベルトまでしっかり締めることも大切です。
釣り場の事前チェック
1.jpg)
・ロープの位置や手を掛けられる場所も把握
万が一落水したときに冷静に対応するために、落水したときを想定してはしごやロープの有無を確認することを習慣化しましょう。
装備の工夫

・スマートフォンは防水ケースに入れる
特に夜釣りの場合には、濡れている場所とそうでない場所の区別がつきにくくなります。
そのため、濡れている場所を踏んでも滑りにくい靴で釣りをしましょう。
また、緊急時の連絡手段として、スマートフォンは防水ケースに入れて死守しましょう。
行動上の注意
3.jpg)
・一人は避けて仲間と一緒に釣行する
釣行時における普段の何気ない行動も重要です。
あらかじめ落水を防止するための注意を払うとともに、万が一落水したときの連絡・救助手段としての釣り仲間の存在も考えておきましょう。
万が一落水したときの対応

落水したら、自力でよじ登ろうとせずに、浮かんで待つことがとても重要です。
無理に上がろうとしても、足が着いたりや堤防の高さが10cm以下でない限り、よじ登ることはできません。
それよりも、ライフジャケットの浮力に身を任せ、救助者が来るまで体力温存することに努めましょう。
10cmの巨大な壁!登るより浮いて待て!!

堤防やいかだから落水したら、10cmの段差すら自力で登れないのが現実です。
プールの感覚で段差を考えるのは危険です。
だからこそ、「落ちない工夫」と「落ちたときに浮かび続ける備え」が大切です。
ライフジャケットを正しく着用し、釣り場の安全を確認するとともに、(できれば)仲間と一緒に楽しむ。
これが安全に釣りを楽しむコツです。
釣りをするときは、自分や仲間の命も守る意識を忘れないようにしましょう。
そして、釣りの楽しさを存分に味わうために、安全対策を最優先にして釣りを楽しみましょう。